外部サービス活用は「サボリじゃない」
大切なのは家族の幸せ
タレント ユージさん
タレント・モデル、ラジオDJとして活躍するユージさん。4人の子どものパパとして家庭を大切にしつつも、仕事に全力投球している。そのユージさんと、家事や子育てを中心的に担う妻を支えているのが家事支援サービスだ。「家事支援サービスを使うことはサボリでも何でもありません。それでも家事も子育てもやることはいっぱいあります」と語るユージさんに、サービスの上手な活用術を聞いた。

【略歴】
1987年生まれ。MC、タレント、モデル、ラジオDJとして幅広く活躍している。朝のラジオ番組『ONE MORNING』(TOKYO FM/JFN全国38局ネット)のメインパーソナリティや、情報番組「ゴゴスマ」(CBCテレビ/TBS系列局)にレギュラー出演。妻と2男2女の6人家族。
■週1回の「助かった」
ユージさんの家では、週に1度、家がリセットされる。午前8時。掃除用のバッグを抱えた家事支援サービスの女性が家を訪れ、各部屋からベッドシーツをはぎ取ると洗濯機へ。洗濯機が回り始めると、次はキッチン、そしてリビングへ。排水口は蓋を外して洗浄し、窓は全面を拭きあげる。午後3時、家事支援サービスの女性が帰る頃には、家は輝きを取り戻す。ユージさんは、「毎週、大掃除レベルのクオリティーだ。あの短時間で、自分じゃ絶対無理。まさにプロの仕事です」と笑顔を見せる。
ユージさんは、10年ほど前から、掃除・洗濯を中心に家事支援サービスを週1回程度のペースで利用しているという。家事支援サービスを利用する日は、「妻にとっては週1回の“オフ”の日」とユージさん。友人とランチに行くなど普段できないことをして過ごしているそうだ。
「実は前日からいいことがあるんです」――。
ユージさんは、家事支援サービスの利用日の前日にポイントがあると明かす。「明日は家事支援サービスの方が来るから、洗濯物は休んじゃおう、と前日も気が楽になるんです。週に1回あるだけで、本当に助かっています」と言う。
■気兼ねなく働ける
家事支援サービスは、夫婦それぞれの役割分担が円滑に回るようにも支えているという。「僕が出張したり、夜遅くまで働いていたりしても、僕の不在に妻がストレスをためて怒られたことはありません。妻はサービスを上手に使っていて、僕に対してはむしろ、今の働きじゃまだ不満があるみたいで、『もっと働いて』って言われています」と笑う。
ユージさんの家庭でも、ゴミ出しや休日のパンケーキ作り、子供の遊び相手など、ユージさんが家事、子育ての一端を担っているが、家事支援サービスをうまく使うことで、妻の家事や子育ての負担を和らげることができる。ユージさんは、気兼ねなく仕事への比重をかけられ、「家事支援はある意味投資のようなものかもしれません。家事支援サービスがなかったら、僕はもっと家事をしなければならないけれど、芸能の仕事は信用も大切です。がむしゃらに働けるから、次の仕事に繋がっています」と話す。
■作り置き、1時間で1週間分の夕飯
ユージさんの家庭では、掃除以外にも、料理の作り置きサービスやシッターサービスといったものも利用してきた。料理の作り置きサービスは年の差のある長男と、まだ幼かった長女、次女を育てていた4,5年前に役に立ったという。
料理の作り置きサービスは、依頼すれば買い物から献立、調理、保存までを一手に引き受けてくれる。調理を始めて1時間で冷蔵庫が1週間分の夕食が収まった容器で埋まる。「食べ盛りの男子と、まだ幼い子供が食べる料理はやっぱり違います。作ることはもちろんですが、買い物や献立を考えるのも大変です。それを短時間で作り終える段取りの良さに感動しました。栄養のバランスも考えられていて、外食よりは価格も抑えられます。安心して使っていました」と振り返る。
■幼少期 支えてもらった原体験

ユージさん自身も幼少期に家事支援サービスを体験してきた一人だ。母子家庭で育ち、小学生の頃は、忙しく働く母の代わりにそばにいてくれたのが、「家政婦さんを経験した近所の高齢の女性だった」という。ユージさんの面倒を見ながら、家の家事をテキパキとこなしてくれた。米国暮らしをしていた小学生時代には、海外に根付くシッター文化も目の当たりにした。「お金持ちの家では住み込みのメイドさんもいましたし、家事についてもっと柔軟に考えている感じがしました。日本でもやっと、家事支援サービスが身近になってきたと感じています」と、今の家庭の原点に思いを巡らせる。
ただ、ユージさんのご家庭で最初に家事支援サービスを利用しはじめた10年前は、周囲の理解もまだ十分でなく、「『贅沢だ』『お金持ちだから』と見られがちでした」と振り返る。サービスの利用を提案したのは妻だったが、自身の原体験もあり、「僕自身は抵抗はありませんでしたし、本来、それでいいんじゃないかな、と思っていました」と語る。
■我が家の布陣と“年子の姉妹”

ユージさんは、家事支援サービスを利用していて、掃除や料理の作り置きといった本来のサービスに加えて、別の魅力も感じているという。大学生の長男は一人暮らしになり、自宅にいることが多いのは11歳と10歳の長女、次女と、2歳の次男。「自我がある姉妹は仲良しですが、毎日のようにケンカをするから手がかかります。家事支援サービスの方が来ると、うまく間に入って二人もご機嫌になります」とユージさん。
「この絵上手に書けたでしょ」――。姉妹はたまに自宅に来る家事支援サービスの女性にアピール合戦。家族や学校の友人とは違う、外部の人との接点が、二人の心を育ててくれているという。ユージさんが夫妻で定期的に出かける食事の際にシッターをお願いする時も、姉妹は上機嫌という。「家族以外の第3者と接することが社会性を養う機会にもなっています」と話す。
■偶然から利用が始まり、これまで「30人」
ユージさん夫妻が、家事支援サービスの利用を始めたきっかけは、シッターからだった。夫婦での食事会の時に、子供の見守りをお願いしていた義理の父母が急きょ対応できなくなってシッターを利用したことだった。ユージさん自身に原体験があったとはいえ、ユージさん夫妻も当初は、外部の知らない人を家に迎え入れることには心配もあった。
飼い犬の様子を見るために設置していた自宅の中のカメラを、家事支援を使う時にも活用している。もちろん家事支援サービスの仲介事業者にはカメラがあることを伝えている。ユージさんは、「事業者さんのことは信頼していますが、カメラがあることで安心感が増し、サービス利用中の外出などもしやすくなります」と話す。
ユージさんも最初から家事やシッターを任せることができる「この人」と出会えたわけではない。「シッターさんも含めると、これまで30人ぐらいの方に家に来てもらったと思います」とユージさん。子育てや家庭観は人それぞれなので、掃除や料理がうまくてもなかなか考え方が合わないといったことも多かったという。たくさんの経験を経て、ユージさんは「最近では、簡単なプロフィールや写真、これまでの実績を見るだけで、人選に失敗しなくなりました。慣れですね」と、これまでの経験を楽しむように笑顔を浮かべる。
「僕は、サービスを使うことをやめようと思ったことはありませんでした。合わない方がいても属人的な問題だと思い、別の方にお願いすればいいと考えています」と、ユージさんはこれから利用を考える人にアドバイスを送る。
■利用するときのポイント「脱・罪悪感」
利用するうえでのポイントについても、ユージさんに聞いた。
「他人の目に左右される必要はありません」。ユージさんが最も強調したのは、利用することへの「罪悪感」を脱ぎ捨てることだという。専業主婦が多かった世代では、どうしても「家事」は家庭内で完結すべきこと、という意識が強くある。しかし、ユージさんは、「一番大事なのは自分の家族の幸せです」と言い切る。近年は、自治体の補助など制度も徐々に整い、理解も進んでいる。1か月に1度、3か月に1度でもいい。ちょっとぜいたくな外食1回分を置き換えるだけで、家庭に余白は生まれる。「夫婦にとって、子どもがいない二人きりの時間をたまに作ることで、夫婦の絆を確認できます」と、夫婦の時間の大切さも語る。
外部の力を借りても、子どもとのコミュニケーションなど親にしかできない役割や仕事を通じて世の中に貢献できることはある。「家事支援はサボりじゃありません。家庭を回し続けるための仕組みです」とユージさん。
「家事支援がなかったら、とっくにパンクしていたと思います」。家庭円満の一端に家事支援サービスがあることへの引け目はない。







